過去の記憶は、恋の銃弾

過去の記憶は、恋の銃弾過去の恋愛というのはさまざまな感覚とともに記憶の中にしまわれています。
とりわけ出会いがしらの強烈な印象は、たとえその恋が終わったとしても、折に触れてフラッシュバックすることがあります。
例えば、合コンなどをきっかけにした出会いでは、食事のあとにカラオケ、という流れもよくあることで、はじめてあった異性の歌声が昔の恋人を思い出させたり、あるいは昔の恋人がよく歌った歌を聴いたりすると、気持ちは一気に過去へと引き戻され、強いセンチメンタルを感じるとともに、ふと新しい恋への予感が芽生えたりもします。

ここで面白いのは、過去の恋愛を思い出すきっかけとなるトリガーが、そのまま新しい恋へとつながっている、ということです。
はじめての出会いで、「あ、この人、昔の恋人に似ている」と思ったことがある方も多くいらっしゃることでしょう。
そして、そう思った相手に対して、あなたはきっと、大きな興味を持ったことでしょう。

人というのは、思った以上に同じような出会いと恋愛を繰り返してしまうものです。
なぜかというと、意識的であれ、無意識的であれ、新しい恋を求めたいと感じた瞬間、人の足は自然と過去の恋愛と似たような環境に向いてしまうからなのです。

そうして人が過去の恋愛を思い出しているうちに、心は自然と恋する準備を整え、あっという間に、人を恋の淵に突き落としてしまうのです。

ロマンチストだから恋を繰り返してしまうのか、それとも、恋を繰り返すからロマンチストになるのか、以上のことから考えると、答えはどうやら、恋を繰り返すからロマンチストになる、ということになりそうです。
誰でも初めての恋というのは衝撃的なもので、考えるより先に心が高鳴ってどうしようもできないものです。

しかし、一度恋を経験すると、今度は過去の恋愛が記憶を伝って心を揺さぶるようになります。
過去と現在とを比較し、ああしよう、こうしようと考えることで、次の恋愛が始まるのです。
こうした思考から始まる恋こそ、他人から見ればロマンチックに映るもので、ロマンチックというのは実のところ、とても理性的なものともいえるのです。

ですから、過去の恋愛を思い出す、というのはとくに悪いことではありません。
それは、自分が次の恋をする準備ができているということ、また、次のターゲットとなるべき相手が近くにいるということを告げる合図でもあるのです。
恋というのは次から次へと連鎖的に起こるものです。
自分の過去だけがそのきっかけになるのではありません。
よく、友人の恋の相談に乗っているうちに恋心が芽生えた、という話がありますが、それも実は同じような原理で、恋の相談に乗る、ということは自分の過去の恋愛経験からアドバイスをする、ということであり、その過程で新しい恋心が芽生えたとしてもなんの不思議もありません。

最後にもう一度確認しておきましょう。
過去の恋愛を思い出すとき、あなたはすでに、新しい恋の銃を誰かに向けて発射しようとしているのです。

  • 連載数:全5回
  • 紹介文:過去の恋愛を思い出すとき、それは新しい恋に挑む前触れ。勇気を持って踏み出しましょう。
2014.12.01