歌というものの力

歌というものの力みなさんも折に触れて過去の恋愛を思い出すことがあることでしょう。
出会いの場所にいったとき、デートした場所にいったとき、そういった過去の自分の経験から思い出すこともあれば、友人の恋話をきいているうちに、あるいはテレビドラマ見ているうちに思い出すこともあるでしょう。
しかし、過去の恋愛を思い出すきっかけとしてもっとも多いもののひとつは、やはり歌ではないでしょうか?景色よりも、味よりも、歌は、目と耳と頭から同時に入ってきます。
それはおそらく、気に入った歌を、その歌詞を読みながら聞いたことに原因があるのでしょうが、青春期には恋人と一緒に当時の流行歌を聞くことも多く、二人の記憶に大きな思い出を刻むことになるのです。

聞いていてぐっと引き込まれる歌詞というものがあります。
それは実に衝撃的な言葉との出会いで、一瞬にしてその歌詞の世界に引き込まれてしまいます。
なぜなのでしょう。
その理由のひとつとして考えられるのが、歌詞の内容がまるで自分のことを書いているように思えるからではないでしょうか。

まるで今の自分の悩みをそのまま歌っているような、あるいは、自分の過去を大声で暴かれているような、そんな歌詞というものは圧倒的な力を持って聞く人の心をとらえます。
自分では言葉に表せないような気持ちを、あるいは言葉にしたくてもできない気持ちを、これほどストレートに表現する勇気に感銘を受け、また同時に、自分以外にも同じような思いをしている人がいる、ということに安心と救いを覚えるのです。
そのような歌というのは、青春期にあってはとても貴重な出会いのひとつで、ある意味では人生の恩人との出会いにも匹敵するくらいです。
こうした、歌詞を通じて過去の恋愛を思い出せる、あるいは、過去の恋愛を思い出したときに、いつでも勇気をもらえる歌詞に出会えた人というのは、本当に幸せなことで、大きな財産でもあるのです。

また、歌にはメロディがあります。
メロディは耳を伝って心へと響きます。
この響きは、歌詞とはまた少し違って、より感覚的なものとして記憶のなかにしまわれます。
そして、そのメロディとともに進行していた恋愛が終わったあと、またいつでも、よみがえってくることがあるのです。
人によっては、そのメロディから耳をそむけたいと思う人もいるかもしれません。

メロディは感覚的なものである以上、拒否反応には具体的な理由がなく、ただたんに、嫌なものとして記憶されますから、それも仕方のないことかもしれません。
しかし、そのような反応も、長くは続きません。
それはその人自身が不断に成長しているからで、昔嫌いだった人でも大人になったら少しは理解できるようになった、ということがあるように、成長すると、そのメロディのなかから過去の幼かった自分が見えるようになり、可愛らしくさえ思えるようになるからです。
嫌いなメロディがある、ということは、自分自身のなかにも納得できない部分があるということの証拠で、ある意味では、それは乗り越えなければならない、克服しなければならない要素である場合も多いのです。

ひとつの歌から過去の恋愛を思い出すとき、あなたはいったいどんな気持ちでいることでしょう。
好きだった歌は依然好きであり、嫌いだった歌が、思ったよりも心地よいものに感じられたとき、あなたはまた新しい自分を発見するのかもしれません。

  • 連載数:全5回
  • 紹介文:過去の恋愛を思い出すとき、それは新しい恋に挑む前触れ。勇気を持って踏み出しましょう。
2014.12.01